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お久しぶりです
仕事が上手くいかずに病んでますが夏は好きなので元気です。

澁澤龍彦が急に読みたくなったのですが一番読みたかった小説が手元にないので、
うろ覚えでフィニファに置き換えてみました。
何から何まで澁澤龍彦のパクリですのでよろしくお願いします。

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 弱冠30歳にしてマルセルベノイスト賞を受賞した天才科学者フィニアスフリンは、ここ最近謎の頭痛に襲われていた。
どんな医者にも分からなかったその頭痛の原因と解決策を、彼は手当たり次第に探すが一向に見つからない。
 万策尽きたフィニアスは、最後に、藁をもすがる思いで彼の義兄弟ファーブのつてから、とあるイギリスの霊視者に辿りつくこととなった。

そのイギリスの霊視者に聞いてみたところ、彼はこのように言う。


「フィニアスフリン様、貴方のおん前生(さきしょう)は、ある命知らずな冒険家にございました。
 彼は世界各地の遺跡や秘宝を発見し、そして今の世にて科学者へと生まれ変わりました。前生での冒険心が今の世では貴方の探究心となり、科学の道を志してのち弱冠30歳にして技術の進歩に貢献し、大きな賞をお貰いになるほどの人物となったのです。
 しかし、その冒険家は旅の途中で亡くなったため誰にもみとられず、いまだに彼の亡きがらは森の奥地に捨て置かれております。
 亜熱帯の雨が降り注ぐたびに冒険家のしゃれこうべに水の打つ音が響き、そのせいであなたも頭痛を覚えているのです。彼の魂を弔えば痛みも治まりましょう。」

 そこでフィニアスフリンは彼の義兄弟を引き連れ、霊視者の言うとおりにある亜熱帯の国へ向かった。
 示された場所には確かに冒険家の骨が眠っていた。彼の亡きがらを掘り起こし、その国で丁重に弔い墓地に入れると、帰国する頃にはフィニアスの頭痛は嘘のように治まっていた。



 しかしその後、数か月もたたないうちにまたフィニアスフリンの頭は痛みだした。解決策を探し奔走するのもうんざりになっていた彼は、もう一度イギリスの霊視者を頼ることにした。
 霊視者はフィニアスを一目見ると、以前と変わらない口調で話しはじめた。


「フィニアスフリン様、貴方のおん前々生は貴方のご先祖様にございます。
 彼は『博士』と人々から呼ばれた発明家で、新たなる生きものや怪物を生み出そうとこころみました。
 そのとどまるところを知らなかった好奇心が、次の人生では冒険心となり、世界をまたにかける冒険家として生まれ変わるに至ったのです。
 この博士は自らの屋敷にて亡くなりましたが、発明にともなう不幸な事故のため、屋敷は荒れ果て、家族や縁のある者は家を離れ、その後も人々が寄りつかない土地となりやがて忘れ去られてしまいました。
 彼の骨は屋敷だった場所の地下に眠ったままとなっております。そのしゃれこうべに、草木の根が張りしめつけるたびに、あなたの頭も痛むのです。彼の魂を慰めれば頭痛も治まりましょう。」

 祖父母の話でも正確な場所が分からずじまいだった土地の場所を、霊視者にこともなげに教えられたフィニアスたちは、先祖の屋敷の跡形もなくなり荒れ果ててしまっていたその土地を掘り起こした。
 はたして今度も、家主である発明家や使用人たちの亡きがらが発見されたのである。フィニアスと彼の義兄弟が、その白い骨たちを近くの教会にて手厚く葬ると、またもや彼の頭痛は消え去ってしまった。


 数年後、フィニアスフリンが頭痛のことなど忘れかけていた頃、またあの痛みが彼を悩ませ始めた。
 著名な科学者として一層忙しい日々を送っていた彼にとって無駄に過ごせる時間はなく、義兄弟をつたってイギリスの霊視者を真っ先に呼ぶことにためらいはなかった。


「フィニアスフリン様、貴方のおん前々々生は、遡ること数万年の時代の名もなき人にございました。
 しかし彼は資源も文明もない未開の地において、体系化された言葉を生み出すという偉業をなしとげました。そうして次の世では発明家として生まれ変わったのです。
 未開の地で亡くなった彼の亡きがらは、家族や仲間の誰にも見つけられず、水の底に眠ったままになっておりました。彼のしゃれこうべが古い古い地層のなかで滅びていくにつれ、貴方の頭も痛むのです。彼の魂を鎮めれば頭痛も治まりましょう。」






 彼の頭痛はその後、忘れたころに何度か再発した。間隔は次第に長くなっていったが、フィニアスフリンはその耐えがたい痛みが来るたびに霊視者の言う通り、彼の前世の死体たちを探し出し、手厚く葬ってきた。





 50歳も手前になり、ひとかどの権威となったフィニアスフリンは、久々の頭痛の再発にも驚かなくなっていた。
 歳を重ね多忙を極めていた彼は、久しぶりに彼の義兄弟に、イギリスの霊視者に連絡を取ってもらうよう頼んだ。
 アメリカの政界で出世し、同じく忙しい日々を送っていた義兄弟のファーブは、それでも今までと同じように、彼を気づかい駆けつけてくれるのであった。


 急いでいたフィニアスに、霊視者の渡米を待つ時間は無かった。彼が頭の痛みを覚えはじめた20年前より、通信技術は大きく進歩していたこともあり、霊視は画面越しに行われることとなった。
 通信画面の向こうのイギリスの霊視者は、まるで初めてフィニアスを視た頃と同じように、すぐ目の前にいるかのように感じられた。以前と全く変わらない口調で、霊視者は語りはじめた。

 スピーカーを通しているはずのその声は妙に生々しく、痛みと日頃のせわしなさに疲れていたフィニアスの頭の中にまで、直接響くようだった。




「フィニアスフリン様、貴方のおん前々々々々々・・・生は、アメリカはダンヴィルの少年にございました。

 ダンヴィルの少年は幼少のみぎりより、数えきれないほどの偉大なる功績を残してきました。

 月にまで届く塔を作り、
 時空の壁を飛び越え、
 次元の壁をも乗り越え、
 新しい言葉を生み出し、
 新たな生態系をも生み出し、
 世界を救い、
 宇宙を救い、神にも等しい業をなしたのです。」




 その声は妙に生々しく、フィニアスの頭に直接響くようだった。
 頭蓋の中を跳ね返る音のこだまは痛みと共にどんどん大きくなり、彼の意識は次第に薄れてきた。





「そうして彼は10歳という幼い年齢ながら、文明を生み出すに至ったのですが、しかし・・・・・・」







 通信が突然途切れ、霊視者の声が雑音に掻き消されると同時に、フィニアスは力が抜けたように通信モニターの前の椅子から崩れ落ちた。
 その後ろに立っていたファーブは、突然視界から消えた義兄弟に驚き、急いで彼を助け起こそうと椅子の前に身をかがめた。




 そこには10歳の、赤い髪の少年が気持ちよさそうに眠っていた。



 目を丸くしていたファーブは、その少年のあまりに穏やかな寝顔に思わず笑みを溢してしまった。
 こんなに穏やかな表情をした義兄弟を、この数十年間というもの、彼は一度も見ていなかったからである。


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